アメたろうの着道楽

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デニムの色落ちやレザーのエイジング(経年変化)などについて。

フリーホイーラーズ レザージャケット 「ボディ 2020年モデル」Part1 ~購入レビュー~

はじめに

「どうせ買うなら、最高のレザージャケットが欲しい!」

ということで、フリーホイーラーズでレザージャケットを買いました。

珍しいモデルだと思いますので、写真たっぷりでご紹介いたします。

フリーホイーラーズとは

フリーホイーラーズは、旧リアルマッコイズを源流に持つアメカジブランドです。

旧マッコイ創立メンバーの一人・安井さんが立ち上げたブートレガーズ、ブートレガーズ・リユニオンという流れを組んでいます。

 

はじめにアメリカの服があった。ワークウェア、アウトドアウェア、ミリタリーウェア、モーターサイクルウェア、アスレティックウェア…。機能本意でとことんタフなアメリカの服。それはつまり広大な未開の大地にアメリカという国を創った服だ。そして、そんなアメリカの服にはアメリカを創った男たちの名もなき人生が刻まれている。

フリーホイーラーズは自分たちが愛してやまない”アメリカを創った服”を蘇らせるべく結成されたクロージング・カンパニーである。しかし、その実体は単に歴史的なアメリカの服をそっくりそのまま再現する復刻者ではない。我々が再現したいのはアメリカがアメリカになる過程で育んできたモノ作りの精神や、その服が活躍したシーンの空気感。

フリーホイーラーズにとってヴィンテージ・ウェアはモノ作りにおける貴重なインスピレーションの源だが、目的はその表層を忠実にトレースすることにはない。例えば我々が、いまや再現の困難な素材や仕様を駆使するのもそれは一枚の記録写真や映像の断片から否応なく滲み出る、ある日のどこかのアメリカの空気を表現するための手段なのだ。

フリーホイーラーズはまた、特定の時代や場所やカルチャーのみにモチーフを見出し、その服飾様式を踏襲するファッション・ブランドでもない。例えば我々が、漂泊の文学集団「ビート」に強く惹かれるのもそれは彼らの発する赤裸々な言葉から否応なく滲み出るある日のどこかの漂泊の記憶への共鳴なのだ。

1940年代後半、ビートはニューヨークの喧噪から路上へと旅立った。彼らは自由を求め彷徨う道すがら、日常に埋もれた真実の欠片を無秩序に拾い上げ、そして謳い上げた。我々もまた、あたかもタイムマシーンを操るが如く大胆かつ自在に時空を彷徨いながら、歴史の地層に埋もれた名もなきアメリカの輝きをランダムに掘り起こし、服というファクターを通して謳い上げる。

フリーホイーラーズが追い求めるのは、現代のどんな服にも、さらにはどんなヴィンテージ・ウェアにもない新たな価値。言うなればそれは、元来ある目的のために作られた服が最もまばゆく発光する場面に置かれた時と同じ輝きを、今、日常の中で解き放つための服作り。それゆえに我々は、”アメリカを創った服”の物語を旅するのだ。

引用:公式WebSite About

…と、公式ホームページに書かれています。

 

安井さんが当初立ち上げたブランドは、ブートレガーズ。

ブートレガーズ・リユニオンを経て、今のフリーホイーラーズに至ります。

 

ヤフオクなどでブートレガーズの製品を見ていると、70年代のヒッピー系ファッション製品を多く排出していたようですね。

それも攻めたデザインが多く、特にTシャツは著作権OUTなんじゃねーの?というレベルまで踏み込んだ作品もありました。

これらには溶けるタグというものが付いており、洗濯を繰り返すとブランド名が判らなくなる凝った仕様になっているようです。

定価も(今と違って)そこまで高くないため、ファンが多かったのも頷けます。

 

 

フリーホイーラーズ時代の作品の特徴にも触れておきます。

ブートレガーズ時代の70年代系統のもの、他のブランドがあまり作らない1930年代以前のものを多く輩出しているように思います。

特にワークスタイルを着こなすには、30年代以前の製品が黄金期なのに、他のブランドがあまり発売していないので、お世話になる方は多いのではないでしょうか。

近年は実名復刻に力を入れているほか、50年代前後のレザーやジーンズなどの大人気商品も多く取り揃えています。

 

冒頭のオフィシャルサイトに記載がある通り、いずれもヴィンテージマテリアルを正確に復刻するのではなく、インスパイアを受けたオリジナル作品ばかりです。

「Great Lakes Gmt. Mfg. Co.」「The Union Special Overalls」「Neal Cassady Railroad」「The Vanishing West」「Power Wear」「Hipsters Reunion」「Hobo and The Trucking Co.」「Hall of Fame」とそれぞれにテーマが設けられており、異なる世界観となっているのも特徴でしょう。

 

独創的な雰囲気や非常に緻密で手間の掛かるプロダクツ群は、(高級感というか)存在感があり、値引きセールを行わない姿勢などからも、特に熱狂的なファンが多いブランドだと感じています。

 

ただ、オリジナル生地が多かったりする都合上か1点辺りの生産数が少ないこと、毎年のように値上げを行っているため、庶民には手の届かないお値段になりつつある印象です。安いレプカジブランドだと2着…モノによってはヴィンテージで買えますから。

 

もっと言えば、大胆で独創的な意匠が多いブランドでしたが、近年はパターンや生地でマイナーチェンジを繰り返している点も、嬉しくもあり寂しくもあります。

(後追い世代でも公式販売店で買うチャンスがある一方で、もっとドンドン完全新作を出して欲しいです。)

 

あと、取扱店が極端に少ないです。

都内では、直営店を含めて3店舗でしか取り扱っていないと思います。

 

 

今までに紹介したブランドの中では、30年代以前の製品を完全復刻でないオリジナリティあふれる形で創り出しているという点ではオルゲイユが近いと思います。

The Vanishing West "BODIE (Vintage Black)" -Lot.2031009-について

まずは、販売サイトの解説からの引用になりますが、ご容赦ください。

こういうものも販売期間が終了するとネットから消えてしまいますので、備忘録として引用させて頂きました。

 

1930年代スタイルのワーク系スポーツジャケットをベースにした、着丈が少しだけショートですっきりとしたミドル丈のレザージャケットが限定リリース。

フリーホイーラーズのデニムシリーズと同じ「THE VANISHING WEST」レーベルで、1800年代後半のゴールドラッシュでたくさんの人々がカリフォルニアへ押しかけた旧き良きアメリカ大陸の西部開拓時、東部に位置する町の名前から「BODIE ボディ」と付けられた逸品です。

シンプルなデザインで、小さめのイタリアンカラーに、少しラウンドした腰ポケット、バックスタイルはヨークが付きダーツ入りで両サイドのDカンでウエストを絞れる仕様になります。

フリーホイーラーズの作り出すレザージャケットは、ヴィンテージ・レザーアイテムの中でも非常に珍しく、価値の高いモデルをモチーフとしているということは間違いない事実であるが、彼らの真髄は常にそれをそっくり其のままトレースするということではなく、長き年月を重ねながらも奇跡的に現存する「ヴィンテージ・サバイバー」はどれも必ず、得もいわれぬ趣や輝きを放っている。

その空気感や時代感の再現と、現代の着用に合わせることとの両立であると思います。

それはいくら上面だけを模したところで不可能な表現です。

それはレザージャケットに対する多大な知識と情熱が実体性を持って現れた姿であって、各モデルに於いて機能性や必然性を持って生まれ、往時の文化や背景を色濃く反映した究極の姿ゆえに、袖を通したもののみが味わえるリアリティを備えています。

至極のレザーを身に纏い、共に年を重ね朽ちて尚、一層の美しさを増していくその様を堪能してください。

引用:Speedwayより

 

自由に牧畜や農業がおこなえ、人知れず黄金が眠る、手つかずの広大な大地。アメリカの人々にとって西部開拓とは、すなわち自由と希望の象徴に他ならない。有象無象がそれぞれの希望を胸に集まったオールドウエストへのオマージュ、それが「バニシングウエスト」である。 

一攫千金を夢見た西部の男たちが身に纏い、生涯の相棒として共に長い年を重ねたレザーウェアには消失したフロンティアへの憧憬が宿る。 

1930年代は、レザージャケットやライダースジャケットなどが様々なブランドから生み出され、オーダーメイドの手の込んだ作りの時代でもありました。そんな時代のアイテムには名品と言われる数々のモノがありました。もちろんヴィンテージなどでは、お目にかかる事のできないレアアイテムで現在でも高額な取引きがされております。 

そんな1930年代のディテールを再現した、シングルタイプのレザージャケット “ボディ” になります。

オープンカラーの衿形状やショート丈、フロントポケットの形状、ステッチなど、その当時のディテールを再現したシンプルなレザージャケットです。 なんと言っても、フリーホイーラーズオリジナルの上質なホースハイド生地を使用し製作されておりますので、高級感漂う雰囲気の作りになっております。また、パーツや素材、デザイン、全てにおいてフリーホイーラーズの凝りに凝った作りになっております。

このジャケットは西部開拓時代に労働者が毎日毎日、袖を通す丈夫なレザーワークジャケットとして愛用していたイメージで作られており、30年代らしくシンプルなデザインに仕上がっております。 

ネーミングの “ボディ” とは、ゴールドラッシュ後に人々が離れ衰退していった町の地名になります。

引用:Avenueより

「ボディ 2020年モデル」の購入レビュー

では、随分と勿体ぶりましたが、レザージャケットを見ていきましょう!

FREEWHEELERS
The Vanishing West "BODIE"
Color.Vintage Black Lot.2031009
税込264,000円

背中も見どころ満載

シルエットは、身幅、肩幅は、少しフィットした作り
袖部分やアールホールなども少し動きやすい作りに。

1.2mm~1.3mmの肉厚ホースハイド
茶芯で染められた上からブラックフィニッシュが施されています。
ベジタブルタンニンなめし、顔料仕上げでしょう。

顔料仕上げ&ハリがある革はリアルマッコイズに近い感じ。
見た目のツヤ感や触り心地も柔らかく高級感が窺えます。

革取りはスムース中心で綺麗の一言。
お手本のような美しいホースレザーですね。

30年代らしい小さめなオープンカラーの衿

ジッパーを上まで閉めるとワイドスプレッド形状に…まだ硬くて閉まりません。

この衿に惚れて買ったようなものです。
色は、右衿の方が実物に近い。

衿の裏側にも妥協なし

背側の裏
2枚を真ん中で縫い合わせています。

広げるとこんな感じ
立体的に縫製されています。

前身頃のシボに見える所も販売店のハンガー皺

シボ革は衿とカフスぐらい
フリホのプライドや妥協のなさを感じます。

斜めに付いた左胸のジッパーポケット
両サイドには30年代特有の三角ステッチ補強あり

 “WHIZZER” の刻印入りボールチェーン

裾ポケットはスラッシュポケット
浅めでハンドウォーマー用です。

入り口の両端には三角ステッチの補強付き
片玉縁仕様なのもGood!

実名復刻”WHIZZER”
ハトメ仕様ピンロック式
TALONだった場合は扇形で30年代後期モデルです。

30年代のハトメ+40年代のデコタロン
1937年~40年代初期モデルなのが判りますね。

前に傾斜したシルエット

後身頃より前身頃の方が約1.5cm〜3cm長い着丈

バックヨークは絶妙に緩いV字
革取りはあくまでピカピカの銀面推し!

アクションプリーツ

パカッと
中はシボの多めの革です。

鏃をイメージした三角形のダーツ
ダーツ押さえのトップの三角ステッチに品を感じます。
ピンチバックも30年代らしい!
スーツやスポジャケ向けのドイツ背広ですね。

エスト部分は身幅より約5〜7cm絞っています。
更に脇のサイドベルトで緩めることも可能。

両サイドのウエストベルト

絞り調節が可能なD菅付きのアジャスターベルト

両袖
左腕
右腕
左カフス
30年代ならではの長めの先が尖ったデザイン
ここは左右ともシボ多めになっています。
右カフス
竹柄に近いネイティヴ柄のナットボタン
向きはランダムに付けられています。
両腕の裏側

細かいピッチの縫製です。

両脇下
通気性を考慮したベンチレーション

裾側はこんな感じ

ちら見せの美学
裏地とのコントラストが美しい。

裏地のライニング
柄合わせしていないようで…絶妙にしてあります。

起毛無しコットンフランネル
チェック柄で色も格好良い。
袖裏にも凝っていて…
同じ柄の起毛有りコットンフランネル
見頃とブロックチェック
拡大
縫製がとても綺麗です。

脇の裏側

内ポケット
クレカが横向きでギリギリ入る程度の浅さ

タグ
最高過ぎて涙が出ます。

この価格になるとタグもたくさん!笑

裏返すとこんな感じ

タグ①表面
Freewheelers and Company

タグ①裏面
製品情報
タグ②
洗濯タグ

タグ③
The Vanishing West

タグ④
ショップのプライスタグ
表地と裏地の拡大
異素材なので当然こんな感じに。

さいごに

いかがだったでしょうか。

実は、フリホのレザージャケットはレインボーカントリーが作っているという噂です。

ただ、両ブランドの実物を見比べるとと異なる点が多いのも事実。

コスパは間違いなくレインボーに軍配が上がりますが、デザイン性の高さはレインボーのみならず、国産レザージャケット界隈では最高峰ではないでしょうか。

 

ちなみに、ブートレガーズ時代の「BUENA VISTA ブエナビエスタ」というモデルの焼き直しになります。

ブエナビスタ」は茶芯のブラックとACID YELLOWというタンカラーのゴートスキンのラインナップだった様子。

 

「ボディ」は2021年モデルで、茶色のディアスキンと二色展開。

お値段も+10万円ぐらいになって帰ってきました。

 

「ボディ」は製造数が少なかったのか、人気がなかったのか、ネットで見ることも少ないため、原宿のデゾではワンサイズのみのストックで、ネットで探してもディアスキンは完売。

ブラックのみ何とかネットで見つけて購入できた次第です。

 

スポーツジャケットを持っている人からすれば決め手に欠ける中途半端なデザイン、アクションプリーツがウケないのかなぁ、、

私は、ピンチバックとダーツによるフィット感、アクションプリーツの動きやすさに惚れました。小ぶりな衿も素晴らしい。

また、ライダースとスポーツジャケットの中間のような独特なデザインもフリホらしい。袖がジッパーだったら買わなかったと思います。

 

良いジャケットだと思うので、大事に着ていこうと思います。

おまけ ~シワ入れの儀式~

これを・・・こうじゃ!

最後までお読みいただきありがとうございました!